ウミガメの個体識別

波照間島のニシ浜には多くのウミガメが生息しています。彼らは潮が満ちてくると砂浜近くのリーフの上で海草等を食べ、潮が引くと少し沖の水深がある場所で休憩しています。

他の浜にもウミガメはいるのですが、ニシ浜のウミガメには際立った特徴があります。それは人慣れしている事です。あまり極端に近寄らない限り、亀は人の事を気にせずに平気で食事を行っています。他の浜にも亀はいますが、すぐ隣のペー浜の亀でさえ人を近づけることはありません。

人馴れした亀を見るようになったのはそんなに昔の事ではなく、2016年でした。それらの亀は最初に見た時から警戒心が全くなく、既に人馴れした亀がどこかほかの場所から移動してきたかのようでした。(個人の感想です)

さて、ニシ浜には何匹の亀が居るのでしょうか?いつも同じ亀なのでしょうか?それともどんどん移動して新しい亀と入れ替わっているのでしょうか?亀はどのくらいの速さで成長するのでしょうか?


これらの謎を解明するためには、まず第一歩目として亀の個体識別を行う必要があります。どうすればよいのでしょうか?Google先生は下の論文を教えてくれました。

その論文によると亀の横顔にある鱗は一匹一匹異なっていて、又その形は成長によって変化しないのだそうです。人間の指紋のようなものです。

この方法なら亀の写真を撮影して、資料を整理するだけでズブの素人の私にも出来ます。この方法で2017年から2021年までの5年間に63匹の亀の顔写真の撮影、個体識別が出来ました。


下の表は個体識別番号を付けた亀の撮影に成功した年の一覧表です。多くの亀を毎年撮影していることが解ります。亀はどんどん入れ替わっているのではなく定着しているようです。

識別出来た亀の数は個体識別を始めた2017年から2020年までの4年間は増加の一途をたどりますが、その後の3年間はおおよそ同じ数となっています。